コラム
守れるか海の環境
30億人の暮らしに影響!
「世界の海を劣化から救い、再生させるための救援計画が必要だ」
閣僚経験者やビジネスマンなど17の国と地域の有識者でつくる会議「世界海洋委員会(GOC)」が、深刻な公海の環境問題と対策に関する報告書を発表した。
英国のミリバンド元外相やコスタリカのフィゲレス元大統領らが共同議長を務め、日本の川口順子元外相も参加したGOCの報告書は「世界の約30億人が海に生活を依存し、3億5千万人に雇用を提供している」と人類にとっての海の重要性を強調。一方で、プラスチックごみや海洋開発が原因の海洋汚染、乱獲や違法な漁業の横行によって「このままでは海の環境がだめになり、多くの人の暮らしが脅かされる」と警告した。
GOCは経済活動への規制がほとんどない公海の環境問題が特に深刻で「これが各国の排他的経済水域(EEZ)や領海の環境まで影響を及ぼしている」とした。
公海とは、各国かの沿岸から12カイリの領海や200カイリまでのEEZ以外の海域を指し、1982年に採択され、日本も批准している国連海洋法条約が根拠になっている。
公海は、各国が領有権を主張できず、他国の利益を考慮する限り、すべての国が自由に使用することができる「公海自由の原理」を定めている。
GOCは公海自由の原則が「責任感や社会正義に関心を持たないものによって乱用されている」と指摘した。
GOCは、乱獲を助長するような漁業補助金の撤廃、公海に海洋保護区を設定して水産資源や生態系を守ること、海洋環境を破壊から再生に向かわせるための政策決定を行う「世界海洋アカウンタビリティ委員会」を設立することなど8項目の提言をしている。